神経筋骨格系組織の分類と評価

神経筋骨格系組織を評価する場合,組織を収縮性組織と非収縮性組織の2つに大別することができる.収縮性組織とは運動時に筋収縮に関与する組織,すなわち筋・腱・腱骨膜結合部であり,それ以外の組織を非収縮性組織,あるいは不活性組織という.

運動機能を評価する場合,骨運動学(Osteokinematics)と関節運動学(Arthrokinematics)の視点から機能を評価する必要がある.骨運動学とは通常,屈曲・伸展,外転・内転,外旋・内旋,などの用語で表現される,いわゆる生理学的運動を分析するものである.実際の検査では,自動運動,他動運動,等尺性抵抗運動を用いる.一方,関節運動学とは関節副運動,すなわち関節包内の転がり,滑り,圧迫と離関などの運動をみる分野をいう.そして,これらの運動を検査するのが関節副運動検査(関節モビリティー検査)である.

これら各種の検査により,神経筋骨格系の組織へ選択的に機械的ストレスを加えて機能異常のある組織を同定する.生理学的運動の検査によって,収縮性組織,非収縮性組織のどこに障害かおるかがわかったら,次に関節包内運動検査,靭帯へのストレス検査,神経緊張検査、腱反射・病的反射・知覚検査などの神経学的検査,触診,各種の疾患や障害特有の検査手技(特殊検査)などにより,さらに詳細な評価を実施していく.

収縮性組織と非収縮性組織の種類と機械的ストレス受容性
組織の種類組織自動運動他動運動等尺性抵抗運動
収縮性組織1筋
2腱
3腱骨膜結合部
機械的ストレス有り機械的ストレス無し機械的ストレス有り
非収縮性組織1骨
2結合組織:靭帯,関節包,筋膜
3神経,硬膜,神経鞘
4血管
5滑液包
機械的ストレス有り機械的ストレス有り機械的ストレス無し
運動学の分野と手技療法評価
運動学の分野手技療法評価の種類
骨運動学
(Osteokinematics)
自動運動検査(Active movements test)
他動運動検査(Passive movements test)
等尺性抵抗運動検査(Resistedisometric movements test)
関節運動学
(Arthrokinematics)
関節副運動検査(Joint mobility tests)
 ├離開(Distraction)
 ├圧迫(Compression)
 └滑り(Slide)
関節副運動(Accessory movements)
患者自身が随意的にはできない関節包内の運動をいい,構成運動と関節の遊びに分けることがある.
@構成運動:自動運動に伴って生じる関節包内の運動をいう.たとえば肩関節を自動的に外旋するときには上腕骨頭が前方へ滑るし,膝を伸展する際には脛骨が前へ滑ると同時に外旋する運動である.ただし副運動と同意語として用いることもある.
A関節の遊び:関節のゆるみの肢位で生じる関節包内の運動である.やはり患者自身が随意的に動かすことができない,離間,圧迫,滑り,転がり,軸回旋を含んでいる.
滑り(Slide)
関節包内の「滑り」運動について,運動学的に運動そのものを示す場合ぱSlide”,臨床で他動的に「滑り」を評価する場合“Glide”という語を用いることが多い.

寄与因子

直接的な原因となっていることだけでなく,障害に間接的に影響を及ぼしている寄与因子(Contributing factors)にも注意を払う必要がある).たとえば特定の筋の硬さや弱化だけでなく、それに影響を及ぼしている筋機能のアンバランスや姿勢の異常、不適切な動作などがある.また,仕事や運動するときの器材の位置や用具の不適切さも寄与因子となりうる.

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