神経筋骨格系の機能と体性機能異常

筋骨格系は人体の約60%を占め,他の器官を入れて保護すると同時に,神経系との相互作用によって姿勢維持や運動にかかわっている.そして単に内臓器官を支持したり,姿勢や運動に関与するだけでなく,腿骨格系自体の外傷や疾病によって人体の健康状態に大きな影響を及ぼす.筋骨格系の機能が維持され、さらに発達するためには,呼吸循環器系や消化器系が正常に機能し発達する必要がある.逆に廃用により,筋骨格系だけでなく呼吸循環器系や消化器系の機能が低下するのはいうまでもない.たとえば末梢における筋筋膜の短縮や硬化によってそこを通る脈管や神経は絞扼され,さまざまな機能障害を起こす.関節拘縮により可動域が制限されると,動作を遂行するうえでのエネルギー効率は低下する.静脈血やリンパ液の還流は、筋のポンピング作用と最大の呼吸筋である横隔膜の運動による陰圧により行われる.そして,これらの機能の調節は神経系と内分泌系によってなされている.

このように神経筋骨格系の機能異常は,単に姿勢保持や運動機能の障害だけでなく全身の機能,すなわち神経筋骨格系に加えて呼吸循環機能や消化器系にも影響を及ぼす.したがって神経筋骨格系とそれに関連した循環機能の異常や障害を体性機能異常と表現する.体性機能異常の手技療法を行う場合,最新の理論・知識をもとに臨床的能力を発揮しなければならない.さらに施術の効果を判定するために臨床研究を行う必要がある.

このような実践の場面で特に重要な部分を担うのが,治療手技(Manual therapy : Manipulative therapy)である.施術手技の多くは,関節とそれに関連した軟部組織の障害を評価し施術する系統的な方法で,その目的は痛みを減少させたり,運動性を増したりあるいは減らしたりすることによって,機能を正常化することである.

体性機能異常の手技療法における基礎的理論
神経筋骨格系組織の発生学:骨節,筋節,皮膚節
神経筋骨格系組織の組織学:正常機能,異常機能,機能を変える能力
神経筋骨格系組織の生体力学的特性:力の方向と運動
神経筋骨格系組織の解剖学:骨学,筋学,神経学,関節学
理学的診断の原理:一般的原理,選択的組織へのストレス,関節副運動
神経筋骨格系障害に対する内科的・外科的治療の原理
指導―学習課程の原理
研究方法の原理
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