変形性手関節症
部位手関節 症状痛み
原因加齢変性 対処専門医の診断

手関節部の外傷や月状骨軟化症 (キーンベック病)などに続発する。X線像で変化があっても疼痛を訴える例は少ない。

変形性手関節症の病理

変形性関節症というと、膝や股関節などに起こるものがよく知られていますが、手指の関節にも起こります。手指の変形性関節症では、指の関節の骨を覆う軟骨部分がすり減って、指に痛みや変形などが現れます。主な原因は関節の老化ですが、指の使いすぎも発症や進行に関係していると考えられています。
 手指の変形性関節症は、更年期以降の女性に、多く見られる病気です。複数の関節に発症することもありますが、その場合は、左右対称に起こることが多いのが特徴です。また、手の指の関節に、変形性関節症が発症した場合は、膝などのほかの関節にも、発症していることがあります。
手の関節 種類
 手には、指関節をはじめ、いくつもの関節があり、どの関節にも、変形性関節症が発症する可能性があります。比較的起こりやすいのが、指先から1番目の関節、指先から2番目の関節、親指の付け根の関節で、発症した部位ごとに、次の病名がつけられています。

ヘバーデン結節
指先から1番目の関節に発症した変形性関節症のことです。ヘバーデン結節は、手の変形性関節症のなかでは、最も発症頻度が高いと考えられています。
ブシャー結節
指先から2番目の関節に発症した変形性関節症を、ブシャー結節といいます。ブシャー結節は、単独で起こることは少なく、多くは、へバーデン結節に伴って起こります。
母指手根中手関節変形性関節症
母指手根中手関節は、親指(母指)の付け根にある関節で、親指を動かす働きをしています。その関節に発症する変形性関節症です。
手首に起こる変形性関節症
 まれに、変形性関節症が、手首にも発症することがあります。手首に変形性関節症が起こると、多くの場合、手首の小指側に痛みが現れます。原因は、老化や手首の使いすぎなどが考えられています。患部を安静にしたり、薬物療法などを行います。指の筋を伸ばす腱が切れることもあり、その場合は手術が行われます。
月状骨軟化症 (キーンベック病)
手の痛みが小指側ではなく、手の中央に現れてくる場合は、「キーンベック病」が疑われます。キーンベック病は、手をよく使う人に発症しやすく、10歳代後半〜30歳代の比較的若い人に多くみられます。装具を用いて、患部を安静にする治療も行いますが、手をよく使うためそうした治療が難しい場合や、痛みが強い場合は、骨切り術などの手術が行われます。

変形性手関節症の症状

手指の変形性関節症の初期には、関節の痛みや腫れ、熱感などの症状があります。また、関節に発赤を伴う場合もあります。関節の痛みは、物を握ったり、つまんだり、持ったりするといった動作のときに起こり、手指を動かさずに安静にしていれば、痛むことはほとんどありません。
 変形性関節症が進行すると、軟骨がすり減っていきます。それにつれて、関節の動きが悪化し、指を動かすことのできる範囲も限られてきます。関節が曲がってしまい、指をまっすぐ伸ばすことができなくなる場合もあります。また、軟骨の減りが強くなると、靭帯が緩んで関節が不安定になり、関節の変形が進み、指が横に曲がってくるといった症状も起こってきます。
 関節に、内部が透けた「いぼ」のようなものができることもあります。これは「粘液のう腫」といって、関節を包んでいる関節包の一部が飛び出してきたものです。
 なお、軟骨が激しく摩耗した部分では、硬い骨同士が直接接触することになります。その刺激によって、骨の辺縁に「骨棘」という、とげのようなものができ、関節の変形が、さらにひどくなります。
 指の変形性関節症の多くは、数年で進行が止まり、痛みも治まってきます。ただし、痛みは治まっても、変形した関節は元には戻りません。

医療機関での診断

指の関節が痛んだり、変形する病気は変形性関節症以外にもあります。
 例えば、複数の関節が痛む場合は、慢性関節リウマチの可能性がありますし、乾癖という皮膚の病気がある場合に、関節に炎症が及んでも、同じような症状がみられます。したがって、診断では、これらの病気との鑑別が重要になります。
 手指の変形性関節症の診断では、問診、診察、エックス線検査などが行われます。問診では、症状のほか、突き指などの外傷の有無、皮膚病の経験などについて話を聞きます。診察では、患部を圧迫したり、指を横に傾けるなどして、痛みやぐらつきなどの異常がないか調べます。エックス線検査では、患部のエックス線写真を撮影して、実際に関節の状態を調べます。エックス線検査によって、変形性関節症かどうかを最終的に診断されます。

医療機関での保存的治療法

手指の変形性関節症の治療には、保存療法と手術療法があります。治療の中心になるのが保存療法で、次のような治療を行います。

患部を動かさない
患部を安静にすることが大事です。関節が不安定な場合は、布製のテープを巻いて固定します。関節が安定すると同時に、患部の安静にもなります。
「タオルやぞうきんを絞る、物をつまむ」といった動作は、痛みの原因になります。こうした患部に負担をかける動作も、なるべく避けるようにしましょう。
外用薬を塗る
患部に、軟膏や湿布薬などを使うこともあります。関節に湿布薬を貼れば、患部の安静にも役立ちます。水を使う仕事が多い場合は、外用薬を用い、仕事の後にこまめに塗るようにしましょう。
患部を温める
医療機関では、温めて液状に溶かした、ろうのような「パラフィン」の中に、患部をつけて温める「パラフィン浴」を行うことがありますが、定期的に通院する必要があります。家庭では、入浴のときに、患部をよく温めるとよいでしょう。
非ステロイド性消炎鎮痛薬を服用する
痛みがつらい場合には、非ステロイド性消炎鎮痛薬を服用することがあります。

医療機関での手術療法

軟骨がすり減り、関節がぐらついて不安定になってくると、手術を行うことを考慮します。ただし、手術方法は、発症部位によって異なります。
 例えば、へバーデン結節の場合は、軟骨を完全に取り除き、骨と骨とを接合する「関節固定術」が行われます。手術を行うことで、関節が安定して、痛みもとれますが、関節を動かせなくなるため、運動障害が起こってきます。そのため、運動障害の影響がより大きいブシャー結節に対しては、原則として関節固定術は行われません。
 母指手根中手関節変形性関節症の場合は、緩んだ靭帯を再建する手術、手根骨を構成する骨の切除、関節固定術、人工関節置換術などいろいろな手術法があります。これらの手術法のなかから、患者さんの症状に応じて、最適と思われる手術が選択されます。

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