骨腫瘍・軟部腫瘍

腫瘍は、骨や筋肉などにもできます。そのうち、骨にできる腫瘍を「骨腫瘍」といい、骨の周りにある筋肉や脂肪、神経、血管などの軟部組織にできる腫瘍を「軟部腫瘍」といいます。一般に、骨腫瘍は、成長期に多いのですが、軟部腫瘍の場合は、中高年にも多く見られます。

部位肩関節 症状痛み
原因腫瘍性 対処専門医の診断
骨腫瘍・軟部腫瘍の病理

本来、骨腫瘍や軟部腫瘍は、発症頻度の低い病気です。しかも、その多くが良性腫瘍であり、腫瘍が良性の場合は、機能障害などによる日常生活への支障がなければ、急いで治療する必要はありません。しかし、まれとはいえ、腫瘍が悪性の場合は、速やかに適切な治療を受けることが必要になります。
 骨や軟部組織の悪性腫瘍の治療は、近年著しく進歩しました。20年ほど前までは、救命の難しい例が多かったのですが、現在では、救命率が大きく向上しています。例えば、子どもに多い悪性腫瘍である「骨肉腫」や「ユーイング肉腫」では、約80%が助かるようになりました。その一方で、障害を抱えることになる手術を受けたり、治療が長期にわたるといった問題と向き合わなければならないケースも出てきています。

骨腫瘍には、多くの種類があります。骨肉腫やユーイング肉腫は、特に10歳代に多く、骨肉腫は、膝の近くの大腿骨や腰骨、肩に近い上腕骨などに発生しますが、ユーイング肉腫は、骨盤や肩甲骨などにもできます。そのほか、「軟骨肉腫」のように、40歳以上の中高年に多い悪性腫瘍もあります。軟骨肉腫は、主に大腿骨や骨盤などにできます。
 良性の骨腫瘍では、10歳代や20歳代の若い人に多い「骨軟骨腫」や「内軟骨腫」があります。また、30歳代に多い「骨巨細胞腫」は、良性と悪性の中間として扱われます。骨軟骨腫や骨巨細胞腫は、主に大腿骨や脛骨などにできますが、内軟骨腫は、手指の骨や、手足の指の付け根の骨に発生します。

軟部腫瘍にも、さまざまな種類があります。その多くは良性のもので、主な症状は「腫れ」です。痛みを伴うことは多くありません。ただし、中高年に多い「悪性線維性組織球腫」や「悪性神経鞘腫」「脂肪肉腫」などの悪性腫瘍(軟部肉腫)もあります。

骨腫瘍・軟部腫瘍の症状

骨の腫瘍の主症状は痛みで、徐々に強くなります。進行すると、骨折を起こす場合もあります。膝、腰、肩、指などに、原因不明の痛みがあれば、整形外科で検査を受けることが大切です。また、中高年では、加齢による痛みと間違えやすく、例えば「腰痛」と思って治療を続けていても、すっきりしない場合は、骨腫瘍を考えてみることも必要でしょう。

軟部肉腫は、全身にできますが、特に太ももやお尻などの下半身にできることが多いようです。症状はしこりやこぶで、進行するにつれて、徐々に大きくなっていきます。体に、しこりやこぶができた場合は、整形外科を受診して、よく調べてもらいましょう。

医療機関での診断

骨や軟部組織の腫瘍の診断には、エックス線撮影、CT(コンピュータ断層撮影)、MRI(磁気共鳴画像)、骨シンチグラフィーなどの画像診断のほか、血液検査などを行います。
 エックス線撮影は、特に骨腫瘍の診断に有効で、腫瘍の成長の速さをみるためにも行われます。CTでは、腫瘍による骨の破壊の程度や軟部組織への浸潤の程度などがわかりますし、MRIは、腫瘍の範囲を、CTより正確にとらえることができます。骨シンチグラフィーでは、骨の異常部位がわかります。このほか、超音波検査などを行う場合もあります。
一方、血液検査は、「悪性リンパ腫」や「骨髄腫」といった骨腫瘍の診断に有効です。  ただし、画像検査では、腫瘍が良性か悪性かを診断することはできません。最終的には、切開して腫瘍の一部を採取して調べる生検を行って確定診断をします。

医療機関での保存的治療法

腫瘍が良性で、症状が軽い場合は、原則として経過観察となりますが、悪性の場合は、早急に治療を行います。治療法には、大きく分けて手術療法、化学療法、放射線療法があります。

化学療法(抗がん剤)
 抗がん剤を用いる治療法です。特に、近年、骨腫瘍や軟部腫瘍に、よく効く抗がん剤が開発されたことにより、腫瘍を小さくしてから手術をしたり、手術後の再発や転移を抑えることがかなりできるようになってきました。
現在では、化学療法と手術を組み合わせた治療法が、骨と軟部組織の悪性腫瘍の治療の基本になっています。
放射線療法
 骨盤に悪性腫瘍ができ、切除すると歩行困難になるというように、手術が困難な場合には、放射線療法の適応を考慮します。
 
医療機関での手術療法

腫瘍が悪性の場合、腫瘍の周囲の正常な組織も含めて、広範囲に切除する必要があります。そのため、かつては、腕や脚に腫瘍ができた場合は、切断したり、関節から切り離す「切・離断術」が、一般に行われていました。しかし、最近は、化学療法の進歩に伴い、切断したり、離断せずにすむ「患肢温存手術」が行われるようになりました。その結果、手術で手足を失うケースは減少しています。

手術後の身体機能温存法

切・離断術の後は、身体機能を温存するために、義足や義手を装用します。また、患肢温存手術でも、骨の一部や関節を切除した場合には、体のほかの部分の骨や関節で代用したり、人工関節を用いるなどして、身体機能を温存する必要があります。膝関節を切除した場合に、足関節で代用する膝回転形成術もその1つです。なお、最近は人工関節も進歩し、子どもの成長に合わせて関節を伸ばせるタイプも開発されています。

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