いわゆる腰痛症(原因不明の慢性腰痛)

調べても原因がわからない腰痛の一群を「腰痛症」と呼んでいます。慢性の筋疲労,姿勢異常。心因背景,内臓疾患,股関節疾患などに注意が必要です。

部位腰殿部 症状痛み
原因加齢変性 対処専門医の診断
腰痛症の病理

「腰痛」とは、「運動時や安静時に腰部に痛みを感じる疾患の総称」と定義されています。 つまり、「腰痛症」というのは、1つの病気を指すのではなく、腰の痛み″という共通の症状を持つ病気の総称なのです。

腰痛を起こす病気は幅広く、腰痛を原因によって分類すると、「椎間板性腰痛」「椎間関節性腰痛」「筋肉性腰痛」「骨性腰痛」「外傷性腰痛」「姿勢性腰痛」「心因性腰痛」などに分類することができます(下表参照)。また、これらの原因が単独で症状を引き起こしているとは限らず、複数の要因が重なり合っていることもよくあります。

このような多岐にわたる原因が考えられるため、たとえ画像診断で骨などの異常が見つかったとしても、それが腰痛の原因になっていると断定することはできません。例えば、画像診断で同じような変化が認められても、ある人には激しい腰痛が現れ、ある人にはほとんど症状がないということがあるのです。

最近では、腰痛の発症や病状の増悪には、心理的要因や社会的要因も大きくかかわっていることがわかってきました。慢性腰痛の場合、患者さんの80%に「うつ状態」が見られるともいわれています

原因による腰痛の分類
筋肉性腰痛筋肉の疲労による痛みや、筋肉の血液供給が不足して栄養・循環不良で起こる 梨状筋症候群
椎間板性腰痛老化による椎間板の変性や、ヘルニアによって神経が圧迫されるため起こる
椎間関節性腰痛老化に伴って椎間関節にかかる負担が増え、関節の変形が進んで腰痛を招く
骨性腰痛骨粗鬆症で骨がもろくなり、背骨がつぶれたりして痛みが起こる
外傷性腰痛疲労骨折による脊椎分離症など
姿勢性腰痛骨粗鬆症で腰が曲がったり、椎間板や椎骨の変性による腰の弯曲異常が原因
心因性腰痛家庭や職場の環境、経済状態などの心理・社会的要因が深くかかわっている
その他内臓の病気が原因で起こる腰痛もある
医療機関での診断

腰痛が起きている原因を明らかにするために、問診、身体的検査、画像診断が行われます。椎骨、椎間板、椎間関節などに異常が認められ、それが腰痛の原因であることがはっきりすれば、原因となっている病気の治療が進められます。

医療機関での保存的治療法

原因が特定できない場合には、原因不明の腰痛症としての治療が行われます。 原因を特定できない場合の治療は、痛みを抑える対症療法が中心となります。基本的には消炎鎮痛薬が用いられますが、心理的要因が大きいと考えられる腰痛には抗うつ薬が用いられることもあります。実際、抗うつ薬が有効なケースも少なくありません。

腰痛の治療は、かつては痛みを取り除くことを目的としていましたが、最近は、ふだんの生活を早く取り戻すことを最終的な目的とするようになっています。痛みを取り除くのは、そのための手段に過ぎず、例えば薬を服用して痛みが軽減するかどうかだけでなく、それによってふだんの生活を行えるようになるかどうかが大切なのです。

心理的要因の強い腰痛では、患者さんが抱えている問題について、専門家に話を聞いてもらうだけでも症状が軽くなることがあります。腰痛の治療には、精神医学的なアプローチや社会医学的なアプローチが効果的なこともあるのです。

日常生活での対処法

痛みがあると、どうしても生活が消極的になり、必要以上に安静にしてしまいがちです。しかし、これではなかなかふだんの生活に戻ることはできません。

腰に無理な負担をかけないといった点に注意しながら、患者さん自身がなるべく早くふだんどおりの生活に戻ることによって、治療効果が高まるのです。

かつては、痛みがあるときには安静にしていたほうがよいと考えられていました。しかし、過度の安静は、身体的にも心理的にもメリットが少なく、デメリットが多いことが、最近は明らかになっています。

安静にしているよりも、痛みを我慢できる範囲で、なるべく積極的に体を動かすことが勧められます。

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