いわゆるぎっくり腰(急性腰痛)

重い物を持ち上げようとしたときや、不意に体をひねったときなどに、ギクツと腰を傷めてしまうことがあります。強い腰の痛みが急激に起こるのが特徴です。

一般的には「ぎっくり腰」とひとまとめに呼ばれていますが、その病態はさまざまで、なかには腰椎椎間板ヘルニアによることもあります。

部位腰殿部 症状急激な強い痛み
原因疲労性 対処2〜3日間安静or専門医の診断
ぎっくり腰の原因
  1. 腰椎の椎間関節の捻挫や,靭帯の軽度の損傷,関節包のめくれやねじれによるもの
  2. 腰背筋の筋膜の損傷(肉離れ)が原因のもの、いわゆる「筋膜性腰痛」
  3. 腰椎椎間板ヘルニアが原因のもの
  4. 骨粗鬆症による腰椎椎骨の圧迫骨折によるもの

ちょっとしたきっかけや、特に誘因もないのに急に腰が痛む 急性腰痛の多くは、ほんのちょっとしたきっかけで突然、腰に激痛が起こります。引き金となる動作には、重いものを持ったり、かがんだり、腰をねじるなど、誘因が思い当たることもありますが、特に誘因もなく起こる場合も少なくありません。また、腰椎に何らかの病気があり、加えて無理な姿勢をとったり、動作をしたために、急激に強い痛みを引き起こすこともあります。

痛みの原因はそのほとんどが腰椎の椎間関節の「亜脱臼」です。亜脱臼とは、いわゆる捻挫のことで、関節が半ば外れかかった状態をいいます。また、椎間関節内へ滑膜が挟まった場合も考えられます。つまり、ぎっくり腰のほとんどは、腰骨の関節を捻挫した状態なのです。

したがって、2〜3日間安静にしていれば、特別な治療を受けなくても、自然によくなってきます。それでよくならない場合には、椎間板ヘルニアなどが起きていることを考えなければなりません。痛みが長引くときには、ただのぎっくり腰だからと放っておかず、整形外科を受診し、痛みの原因をはっきりさせることが大切です。

ただ、注意しなければならないのは,ほかの病気が原因の場合も考えられます。目安としては,「どんな姿勢をとっても楽にならない」「発熱を伴う」「冷や汗が出る」といった症状が見られる場合は,早急に整形外科の受診をお勧めします。

ぎっくり腰の症状

急性腰痛が起こると、強い腰の痛みのために動けなくなったり、歩くのが困難になるといったように動作が制限されます。症状の程度には個人差があり、ものにつかまりながら何とか動けるという人もいるし、痛みのためにほとんど動けなくなる人もいます。少し前かがみになったり、横向きで寝ると痛みが楽になることが多いようです。

ぎっくり腰の家庭での対応

ぎっくり腰などで腰痛が起こった場合、痛みが強いときに無理に動いて受診する必要はありません。急性期は家庭で楽な姿勢で安静を保ちます。ひざを曲げて横向きに寝たり、腰への負担が軽い姿勢を保ちます。市販の湿布薬を貼ったり、消炎鎮痛薬をのんでもよいでしょう。

ただし、「どんな姿勢をとっても楽にならない」「発熱を伴う」「冷や汗が出る」場合は、なるべく早く整形外科を受診してください。

注意を要する病気
特に重篤な病気 その他の急性腰痛を起こす病気
  1. 転移性脊椎腫瘍
  2. 化膿性脊椎炎
  3. 椎間板ヘルニアによる馬尾障害
  4. 子宮外妊娠
  5. 解離性大動脈瘤
  6. 胃・十二指腸潰瘍穿孔
  7. 急性膵炎
  1. 椎間関節症候群
  2. 強直性脊椎炎
  3. 子宮内膜症
  4. 骨盤輪不安定症
  5. 尿管結石
  6. 腎盂腎炎
  7. 心身症
  8. 心気症
それ以外の場合は、ぎっくり腰
腰椎の椎間関節の捻挫や,靭帯の軽度の損傷,関節包のめくれやねじれによるもの 対処法:冷却,塗り薬,湿布 、痛みの感度を下げる
腰背筋の筋膜の損傷(肉離れ)が原因のもの、いわゆる「筋膜性腰痛」 対処法:TP探索,ポジショナル・リリース
腰椎椎間板ヘルニアが原因のものがあります 対処法:冷却,塗り薬,湿布 、髄核を戻す
骨粗鬆症による腰椎椎骨の圧迫骨折によるもの 非ステロイド性消炎鎮痛薬、ビスフォスフォネート製剤やカルシウム製剤の併用、コルセットや矯正ギプス

ぎっくり腰なら、しばらく安静を保っていると、痛みは徐々に軽くなります。軽症の場合は、そのまま治ることもあります。

気をつけたい点としては、安静は2〜3日にとどめ、動いたほうが回復は早まるということです。

もちろん、痛みが強くて動けないというときは無理に動く必要はありませんが、動ける程度に痛みが治まってきたら、安静を守るのは2〜3日にとどめます。それを過ぎたら、無理をしない範囲で日常の生活に徐々に戻していきます。そのほうが回復も早くなります。

医療機関での診断

急性腰痛は初期は動くことが困難なため受診できないことがあります。安静にしていれば痛みが軽くなるなら、あわてて受診しなくても、動けるようになってからでよいでしょう。

ぎっくり腰などの急性腰痛で受診した場合は、まず、ほかの病気がないかを確認します。そのため、診察で下肢の腱反射、運動神経の検査、しびれや感覚の鈍麻を調べる検査を行うほか、エックス線検査や必要に応じてMRIなどの画像検査で腰椎の状態を調べます。血液検査や尿検査が必要になることもあります。

医療機関での保存的治療法

検査の結果、ほかの病気がないことがわかれば、痛みを抑える治療をします。ただし、手術などの積極的な治療が必要な腰椎の病気があれば、その治療が優先されます。

薬物療法では、痛みを鎮める非ステロイド性消炎鎮痛薬の内服薬や坐薬、外用薬の貼り薬や塗り薬が処方されます。

筋膜性腰痛で筋肉のこりがひどい場合は、筋弛薇薬を用いることもあります。

腰椎コルセットを希望する場合は、布製のやわらかいタイプのものを用います。

痛みが強いときには、注射による治療も行われます。関節や筋肉に局所麻酔薬を注射する方法が有効です。

ぎっくり腰の予防法

同じ姿勢を長時間続けず、毎日1時間は歩こう

直立時で,腰は体重の1.5倍の負荷に耐えているといわれます。腰の骨を守るために,腹筋と背筋をバランスよく鍛えることが必要です。ただし、必ず痛みが治まってから、症状が落ちついたら、積極的に筋力強化に取り組むことは再発予防に役立ちます。特別なトレーニングでなくとも、毎日1時間程度歩くようにすれば、自然に筋力が強化されます。歩くのは、肥満を解消したり、肥満するのを防ぐのにも効果的で、その点でも再発予防に役立ちます。慢性的腰痛の人は無理をせずに、腰痛体操を習慣づけるとよいでしょう。

なるべく腰に負担をかけない生活を心がけます。重い荷物を持ち上げるような作業はもちろん、同じ姿勢で長時間座り続けることも腰に負担をかけます。デスクワークや車の運転をするときには、時々腰を伸ばすとよいでしょう。

回復の仕方

1週間以内に治る 40%
3週間以内に治る 60〜85%
2ヶ月以内に治る 90%
2週間以上痛みが続く 14%

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