外反母趾
部位足趾 症状変形
原因疲労性 対処代替医療

足の親指の付け根の関節が変形し、突出して靴に当たるため、炎症が生じて痛む。
足の親指が小指側に曲がる変形。中足骨は内側に拡がるので,親指の付け根が突出する形となる。靴に当たってバニオン(滑液包の腫脹)を形成し,痛くなる。女性に多い。靴下や靴が影響する。

 ここでは、足の指を「趾」と表記しています。

外反母趾の病理

生活の中で靴を履く時間が長くなるに伴って、増えてきた外反母趾。多くの女性が悩んでいるといわれます。進行すると手術も必要になりますが、軽症のうちなら矯正体操がかなり有効です。
 足の親趾(母趾)の付け根の関節が変形し、母趾が体の外側を向いた状態になるのが「外反母趾」です。変形した関節は体の内側(母趾側)に突出するため、靴を履いたときには、その部分が靴に当たってしまいます。それによって突出部に炎症が生じ、痛みが引き起こされることになります。
 初期のうちは靴を履いているときだけ痛みますが、進行すると靴を脱いでいるときにも痛むようになります。また、関節の変形が著しい場合には、母趾が第二趾(手の人さし指に当たる)と重なってしまうこともあります。
 母趾の付け根の関節の下には、種子骨という2つの骨があります。
健常な足では、種子骨は中足骨の両側にバランスよく存在していますが、外反母趾による関節の変形が起こると、中足骨が体の内側に移動するため、種子骨が体の外側にずれてしまいます。
これも変形を引き起こす原因になります。
外反母趾
足のアーチ  外反母趾は人間が靴を履くようになって生まれた病気で、日本では戦後になってから増えてきました。男女比は1対7〜8と圧倒的に女性に多く、発症年齢は10歳代と40歳代の2つのピークがあります。

 足には、土踏まずに沿ってつくられる縦のアーチと、横のアーチがあり、2つのアーチが着地の衝撃を吸収したり、前へ進む力を生み出す役目を果たしています。外反母趾では、このアーチが崩れて歩行が不安定になります。また、アーチの小さい扁平足だと外反母趾になりやすいのです。

原因
ハイヒールや先の細い窮屈な靴は、関節の変形を招く最大の原因となっています。ハイヒールがよくないのは、体重が足の前側にかかり、それによって足の横のアーチがつぶれやすくなるからです。アーチがつぶれた状態で靴を履くと、母趾が圧迫されて外側を向くようになります。また、かかとが高いと母趾の付け根を反対に反らしたようになります。この状態だと関節が左右にずれやすく、関節が内側に突出する原因となります。先の細い靴は、母趾を小祉側に向かせるため、付け根の関節が変形を起こしやすくなります。
 足自体に原因が潜んでいることもあります。母趾が第二趾より長かったり、もともと母趾が外側に傾いていたり、扁平足だったりする場合には、そうでない人に比べて外反母趾になりやすいのです。足の形は親に似るので、親が外反母趾の場合には、子どもも外反母趾になりやすいといえます。10歳代で発症するのは、大部分がこうした足の人たちです。
 そのほか、足の筋力低下や、肥満による足への負担増も、アーチがつぶれる原因となり、外反母趾の発症にかかわってきます。中年期以降の外反母趾は、こうした原因で発症するケースが多くなります。

外反母趾の症状

 現れている症状によって、外反母趾の重症度が診断されます。

外反母趾の進行
軽度靴を履いていると痛みますが、脱ぐと痛みは治まります。
中等度靴を脱ぐと痛みは治まりますが、突出した関節を押すと鋭く痛みます。
高度靴を履いているときはもちろん、靴を脱いだときも痛み、突出した関節を押さなくても痛みがあります。また、母趾が第二趾と重なるなど、関節の著しい変形がある場合もここに含まれます。
医療機関での診断

特徴的な症状があるため、診察を受ければすぐに診断がつきます。診察では、問診、視診、触診が行われます。

問診
母や祖母が外反母趾だったか(家族歴)、ハイヒールを履く必要がある職業かなどが重要な情報になります。
視診
関節の変形の程度、足底の第二趾と第三趾(手の中指に当たる)の付け根にたこができているか、扁平足変形が起きているかなどがチェックされます。また、靴底の減り方から歩き方の癖を調べられます。
触診
変形部に圧痛があるか、関節を動かして痛みがあるかなどが調べられます。
画像検査
より医学的に重症度を診断するには、エックス線撮影が必要になります。変形した関節の骨の角度などを調べ、重症度が判定されます。
医療機関での保存的治療法

外反母趾の治療には、保存療法と手術療法があります。痛みがそれほど激しくなく、靴を脱げば痛みが治まるような場合は、保存療法で症状を改善させることができます。

まず悪化の原因となる靴の問題を解消
外反母趾の最大の原因は靴にあるので、靴選びを慎重に行います。
 まず、足囲(母趾と小趾の付け根を通る足の周囲)が適度にフィットする靴を選びます。この部分が緩過ぎると扁平足を招き、外反母趾の原因となります。もちろん、きつ過ぎてもいけません。ひも靴の場合締めつけ具合を微調整することが可能なので、靴を足にフィットさせることができます。
 つま先部は圧迫感がなく、つま先の前に10〜15mmほどのゆとりがあるのが理想的です。つま先を靴の前につけたとき、かかとの後ろに指が1本入るのが目安になります。
 土踏まずを支える盛り上がりがあることや、かかとを包み込む構造になっていることも、足を安定させ、外反母趾を防ぐのに役立ちます。自分の足のアーチに合った中敷きを使うことも勧められます。かかとの高さは3cmぐらいまでが理想的です。また、歩くときに靴底が無理なく曲がることも大切です。
 靴を購入するときには、片足だけでなく、必ず両足とも履いてみるようにします。ほとんどの人が右と左で足の大きさが違うため、大きなほうに合わせる必要があるからです。
また、靴選びは足がむくんで大きくなる夕方に行うとよいでしょう。靴を履いてみるだけでなく、実際に歩いてみることも大切です。
足の筋肉を鍛える体操を行う
保存療法として行う体操は、関節を矯正することだけが目的ではありません。足の関節を支えている筋肉を強化することで、変形の進行を食い止め、痛みなどの症状を改善することが主な目的になっています。
 次にあげる4種類の体投を、それぞれ5分間ほど、毎日根気よく継続します。4種類の体操を一度にすべて行う必要はなく、4回に分けて行ってもかまいません。なお、この体操はすべて「はだし」で行います
趾の間を開く体操(外反母祉矯正体操)
いすや床に座って、趾の間を思い切り開く体操です。趾の周辺や、足の裏の筋肉を鍛える効果があります。趾を開くのが難しい場合には、母趾を床に押しっけ、他の趾を外側に開くようにします。これを続けていると、次第に自力で趾を開けるようになります。
ホーマン体操
両足の母趾に輪ゴムをかけ、そのまま足を左右に広げる体操です。いすや床に座って行います。母趾と第二趾の間を広げる効果がありますが、足の筋力を強化する効果はさほど高くありません。輪ゴムは細いものだと皮膚に食い込むので、ある程度幅の広いものを用いるとよいでしょう。
タオル寄せ体操
床に敷いたタオルを、足の趾で少しずつたぐり寄せる体操です。いすに座り、足の趾でタオルをつまんで引き寄せる動作を繰り返します。この体操は、特に足の裏の筋肉を強化することができます。また、外反母趾の要因となる扇平足を改善するのにも効果的です。
つま先立ち体操
つま先立ちを繰り返す体操です。足裏をつけて立った姿勢から、ゆっくりとかかとを上げてつま先立ちになり、そのままの状態を2〜3秒保ち、ゆっくりとかかとを下ろします。このとき、趾を広げ、全部の趾で体重を支えるようにします。この体操は、足の裏の筋肉を強化し、土踏まずを発達させる(足の縦アーチを回復させる)のに役立ちます。
痛みを緩和し、関節を矯正する装具
外反母趾の保存療法では、足に装着する装具が用いられることもあります。
 装具には、母趾の位置を矯正するもの、足の側面に装着して靴による衝撃や圧迫を緩和するもの、母趾と第二趾の間隔を広げるもの、足の縦横のアーチを支えるものなど、目的によっていくつかの種類があります。また、室内で靴を脱いでいるときに装着するもの、就寝中に装着するもの、靴を履くときに装着するものなど、用途によっても分類することができます。
 これらの装具は、患者さんの外反母趾の状態や用途に合わせて用いられます。改善したい症状に応じて、最も適切な装具を用いる必要があるのです。市販されている装具もありますが、使用する際には医師とよく相談して適切なものを選ぶことが大切です。
 また、整形外科でも装具は購入できますし、自分の足の状態に合わせた装具を作ってもらうこともできます。
医療機関での手術療法

手術を受けるかどうかは、患者さんが痛みによってどれだけ困っているかによって判断します。たとえ関節の変形が進んでいても、靴を履く機会が少なく、痛みが気にならなければ、手術を受ける必要はありません。逆に、変形がさほど著しくなくても、痛みが強い場合には手術の適応となります。痛みが「高度」の段階まで進むと、痛みをとる方法は手術しかありません。
 外反母趾の手術として最も多く行われているのは、中足骨の一部を切って母趾の角度を調節する「中足骨骨切り術」です。手術にかかる時間は通常1時間以内で、翌日から松葉杖を使って歩くことができます。入院期間は1〜2週間程度です。手術後1か月半でスニーカーなど締めつけない靴で歩くことができます。3か月もすればハイヒールも履けるようになり、スポーツにも復帰できます。
 外反母趾は両足に発症していることが多いので、症状が左右で異なっていても、手術は原則として両足同時に行われます。

日常生活での対処法

外反母趾を予防したり、進行を防いだりするには、なるべく「はだし」で過ごすようにし、履物は草履など鼻緒のあるものにするのが理想的です。しかし、現代社会で生活していく以上、靴を履かなければならない機会は多いものです。職種によっては、ハイヒールを履く必要もあるでしょう。
 靴はなるべく足に負担をかけないものを履くことが大切です。ハイヒールを履かなければならないときは、履き替え用の靴を用意しておき、ハイヒールは必要なときだけ履くようにするとよいでしょう。
 また、外反母趾の進行を食い止め、痛みなどの症状を防ぐためには、前に紹介した体操を継続することが勧められます。

靴選びのポイント
かかとがフイットするかかとが浅い靴は、脱げやすくて歩きにくい。かかとを包む深さと足に合ったカーブがあるものを
足囲が合う趾の付け根のあたりは締めつけず、甲のあたりは緩過ぎないでぴったり合うものを
中敷き土踏まずがあり、足裏を支える。さらに趾の付け根の横のアーチを支えるふくらみがあると疲れにくい
つま先に余裕があるつま先が丸くて、履いたときに趾先が当たらず、趾が動かせる靴がよい。靴のつま先まで足を入れてみて、かかとの後ろに指1本入るくらいの余裕があるものを
靴底が適度にしなう底が硬くて靴がしなわないと、歩くときに足に負担がかかる。柔ら過ぎても足のアーチを支えられないので、適度にしなうのがよい
ヒールが高すぎないヒールの高い靴は、体重がつま先にかかって、痛みを招く。ヒールの高さは3cmまでに
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