ムチ打ち関連障害(WAD)

WAD「Whiplash-Associated Disordera」

部位頚部 症状頑固な痛み・耳鳴り
原因外傷性 対処専門医の診断

一般的に、外傷性頚部症候群,過伸展−過屈曲損傷、加速度・減速度障害などと云われる。

「ムチ打ち」は前後方向または側方からの衝撃が,加速と減速というメカニズムによって頚部に伝達されることで発症する.

頚部や頭部に加わる回旋力と平行移動力は,想像以上に大きく,頚部の骨や関節,筋,靭帯,椎間板,血管,神経にダメージを与える.

頚部が急激に前・後・側方に引っ張られることにより,筋繊維が断裂し,内出血を起こす.また,靭帯が伸張し,裂傷する.重症になると,椎骨がずれて神経が圧迫される.椎間板に亀裂が入って髄核が飛び出し,神経を刺激することもある.

WADの危険因子
女性であることや加齢,退行性脊椎症,関節突起間関節の変性,頚部痛やヘルニア,脊椎損傷,リウマチや強直性脊椎炎などの関節炎,後縦靭帯骨化症,パジェット病,脊椎管狭窄症,代謝異常,側弯症,頚椎の先天異常や奇形,骨粗鬆症.

ムチ打ち関連障害に関する臨床的区分 (ケベック州特別調査委員会)
グレード0頚部の愁訴なし
グレード1頚部の疼痛,硬直,または圧痛の愁訴のみ,客観的兆候なし
グレード2頚部の愁訴と骨・筋肉症状の存在(関節可動域制限の低下や圧痛など)
グレード3 頚部の愁訴と神経学的所見の症状の存在(深部反射の低下・消失,筋力低下,知覚障害など)
グレード4頚部損傷と骨折または脱臼
  (注)全ての段階において発現する可能性のある兆候:難聴,めまい,頭痛,記憶喪失,嚥下障害,顎関節痛

(1)衝突における生体力学的影響

後方からの追突で起こる頚椎の変位には,配列のS字状変位と過剰伸展変位の2種類がある.
 S字カーブは,下部頚椎が過伸展,その後代償作用により上部頚椎が屈曲して起こる.このときC5-C6の椎間関節に前開きの挙動が生じ滑膜組織を挟み込むことで,疼痛が生じることがある.
 頚椎全体の過伸展は,S字状の状態から何らかの衝撃が頚部に加わり二次的に損傷を起こす場合と,強い一過性の衝撃により過伸展を起こす場合がある.
 側方から衝突すれば頚部は同側に側屈し,対側の筋組織,椎間関節包と椎間板への損傷を招き,衝撃が強ければ神経系にまで影響を及ぼす.

衝突の方向に対する筋群の影響
衝突の方向 影響を受ける筋 (衝突により収縮)
1後 方両側の胸鎖乳突筋
2前 方両側の僧帽筋(上部)
3右 側方左頭板状筋,前斜角筋と中斜角筋のスパズム
4左 側方右頭板状筋,前斜角筋と中斜角筋のスパズム
5右後側方左頭板状筋と両側胸鎖乳突筋
6左後側方右頭板状筋と両側胸鎖乳突筋
7右前側方左頭板状筋と両側僧帽筋上部
8左前側方右頭板状筋と両側僧帽筋上部
(2)神経生理学的影響

頚部固有受容器は,頭板状筋,大後頭直筋,頭最長筋,頭半棘筋に集中している.
 頚部固有受容器からの情報は,主に脊髄網様体路を経由し,前庭神経核にフィードバックされ,頭部の運動の間,前庭神経核にインパルスを発射している.
 頚部固有受容器に異常興奮が生じた場合,前庭神経に病的な影響会お与えめまいを引き起こす.この機能異常は下行性の内側縦束や網様体脊髄路を通じて,眼や四肢,体幹の筋肉に伝達され,機能失調を引き起こす.

(3)診断

衝突を予期していた場合,関節以外にも筋にたいするダメージが大きい場合がある.
 予期していなかった場合,体幹と頭部の動きにズレが生じ,関節の損傷が考えられる.
 ブレーキを踏んでいた場合,体幹に回旋運動が加わり,胸椎や腰椎にまで損傷が生じている可能性がある.
 <鑑別リスト>

[骨折・脱臼]
禁忌である.中度〜重度の外傷においては検査する前にX線写真をとること.症状が軽そうであっても軽視できない
[頚椎捻挫・挫傷]
WADの大半を占めるとされる.頭痛,肩の疼痛,放散痛が目の周りや後頭部,頚部前面,後三角筋,菱形筋,上腕前部,前腕や指先,肩甲骨下角に及ぶこともある.首や肩の動きが制限されることもある.
筋や腱が裂傷することを挫傷とよぶ.
挫傷は筋腹よりも筋腱結合部に起きる.受傷後早期の運動療法は筋萎縮を防ぐとされ,コントロールされた能動的運動は筋線維の配置を平行に整え,毛細血管化を促進し,抗張力の回復を助ける.
挫傷のおける治癒過程
Phase-1血液凝固24〜48時間出血し(継続しても7日目まで),筋は自発的張力の機能が低下する
Phase-2炎症への反応最初の4日間炎症への対応を各細胞が起こす
Phase-3再生・瘢痕形成7日目機能的には回復するが,瘢痕が顕著である

関節包や靭帯が引き伸ばされたり裂傷することを捻挫とよぶ.
捻挫における治癒過程(膠原組織)
Phase-1急性炎症・反応0〜72時間組織液が蓄積する.赤血球や白血球が集まり,単球とマクロファージが壊死した組織を破壊し始める.線維芽細胞が活発になり,細胞外マトリックスを形成する
Phase-2修復・再生48〜72時間〜6週間炎症がおさまり,血餅やコラーゲン(膠原)のクロスリンクが形成され,1週間経過すると膠原線維が無秩序に並ぶ.
2周目に入ると無血管の肉芽組織が観察され,さらにコラーゲン(膠原)が生成され,エラスチンは2〜3週目に観察される
Phase-3再造形・成熟6週間〜12ヶ月まで線維芽細胞とマクロファージの活動は徐々に減り,瘢痕が増し,周囲構造が整い始める.組織の復元は組織そのものの性質と障害の度合い,活動レベル,固定期間の長さにより異なる
頚部の捻挫・挫傷では,一般にこわばりがみられる.これは癒着形成によるもので、コラーゲン(膠原)生成,局所の組織液の増量,クロスリンクが形成される受傷後48時間〜6週間がもっとも顕著である.また,線維芽細胞は既存の組織や新たに生成された組織を短縮し撚ってしまう特徴がある.線維組織が破壊された組織に置き換わって硬く厚くなり,瘢痕を形成し周囲組織にまつわるつき,自由な動きを妨害する.瘢痕が残る組織は短く弱くなりがちで,腱に過剰な負荷をかけ,腱炎を引き起こしたり,神経を拘扼し神経障害を引き起こす.
関節の固定は,外傷後関節硬直の原因となる.ソフト・カラーはグレード2〜3に対して処方する場合でも72時間以上の着用は避けるべきであり,4日以上の安静も処方されるべきではない.グレード1に対してはどちらも処方されるべきではない.
慢性の捻挫・挫傷においては,筋の運動パターンや頚部と頭部と上半身の位置関係,姿勢を観察し,関与している筋を調べ,痛みのない可動域内での早期のモビライゼーション,アジャストメント,筋・筋膜へのアプローチ,エクササイズを施す.
WADに大きく関与する筋は胸鎖乳突筋,斜角筋,上部僧帽筋をはじめ、深層の多裂筋,頚棘間筋,回旋筋,上・下頭斜筋,大・小後頭直筋,頚・頭半棘筋,頭最長筋など.
[椎間関節症候群]
滑膜ひだが関節間に挟まれ痛みを発する.挫傷よりも罹患率が高いという報告もある.頚部と上腕外側部に疼痛が発症する.C5-C7が好発部位である.間接包や頚部深部筋群のマニピュレーションと牽引を組み入れると効果的である.日常生活では頚部の過伸展を伴なう作業を控えるべきである.
[バレー・リュー症候群]
頚部交感神経症候群ともよぶ.「ムチ打ち」では,頚部交感神経節と血管,斜角筋の過剰な伸張と断裂を引き起こす.症状は多様で主観的なものが多い,客観的所見はあまりなく,特定の治療法は確立していない.交感神経の機能回復に努め,血流を確保し,障害になりうる部位を治療する.
[脊髄障害]
椎間板損傷や骨折・脱臼によって頚椎脊髄が傷ついたり,圧迫を受けた場合みられる.手の脱力,上肢の鋭い疼痛,神経根症の症状,下肢の痺れや知覚異常,歩行障害が起こることもある.専門医の適用である.
[椎間板ヘルニア]
椎間板の髄核が亀裂から出て神経を圧迫したり,髄核のプロテオグリカンに起因して神経根を刺激して疼痛や感覚異常を起こす.注意深い間欠牽引を組み込んだマニピュレーションが効果的である.頭痛や感覚異常,運動障害に急な進行がみられる場合,専門医に送ることが賢明である.
[バーナー/スティンガー(Burner/Stinger):外側ムチ打ち症]
頭頚部への側方からの衝撃後,上腕外側部に焼けるような,または刺すような痛みやしびれが皮節に沿って現れる,同時に筋力低下が現れる.頭頚部が衝撃によって屈曲した側に神経根圧迫が起き,反対側では過伸展によって腕神経叢が過剰に伸張され,腕神経叢ニューロパシー(神経障害)が起きる.腕神経叢の上神経幹(C5-C6)が関与することが多い.所見としては,肩の外転,外旋,屈曲の筋力低下が見られる.頚胸椎のモビライゼーションやアジャストメント,軟部組織アプローチ,頚部の等尺性運動エクササイズを処方する.症状が2週間以上継続する場合は専門医の適用である.
[胸郭出口症候群]
胸郭出口で腕神経叢(C5-T1)と血管の圧迫が原因でおこる上肢障害.好発部位は,斜角筋間や肋骨と鎖骨の間,小胸筋の起止である.WADでは鎖骨骨折や肩峰下における脱臼,第1肋横突関節のサブラクセーション,小胸筋や斜角筋の過緊張や肥大によって,動脈や神経が通り抜ける構造に変化がおきる.症状は,頚椎後部と上背部の疼痛や圧痛,上腕と前腕内側部と手に疼痛やしびれ,感覚異常,上肢の筋力低下,皮膚の張りの変化,温度,変色,浮腫,目の周りや後頭部の痛み,顔面のしびれ,胸の痛みなどが挙げられる.治療法としては,頚胸椎,第1肋骨,肩鎖関節,胸鎖関節,肩甲胸郭関節,上腕関節のモビライゼーションやアジャストメント,小胸筋や斜角筋に対する軟部組織アプローチ,ストレッチや腹式呼吸である.
[顎関節症]
関節内・外両方が原因している.関節内障害とは,滑膜炎,間接包炎,間接円板の変形や変位である.間接外障害とは,頚椎関与(筋・筋膜や姿勢,サブラクセーション),歯科的問題などである.ダメージを受けている組織を調べ,徒手やアクティベータによる顎関節および頚椎へのアジャストメントやモビライゼーション,側頭筋と咀嚼筋,内・外翼突筋への軟部組織へのアプローチが有効である.
[PTSD:外傷後ストレス障害(Post-traumatic Stress Disorder)]
生命に関わる危険な体験あるいは目撃など通常の人間の経験範囲を越える,激烈なストレッサーに遭遇すること,また記憶や夢,フラッシュバック(flashbacks)のよって受傷時の出来事を回想すること,事故を思い出すきっかけに遭遇すると困惑状態に陥ること,受傷と結びつく刺激を恒常的に回避したり反応が全般的に鈍磨すること,睡眠障害や易怒性,認知機能障害,過敏反応,過剰驚愕など,過覚醒の症状が存在することである.
また,引きこもりや継続的不安感,無力感,恐怖感,アルコールや薬物依存,罪悪感などが現れることもある.この状態が1ヶ月以上続くとPTSDと診断される.
身体的治療と同時に患者の訴えを注意深く聞き,メンタルケアの専門家と協力して治療にあたる必要がある.
[脳脊髄液減少症]
長引く後遺症の原因として,衝突のダメージのより脊髄硬膜に亀裂が入り脳脊髄液が漏出する場合がある.これにより,硬膜内の浮力が減少し脳が沈降して,脳の一部が圧迫され眼や耳などの感覚器や各種の障害が現れる.
特徴的症状として
  1. 頭部を垂直に立てると症状が現れやすく,横になると症状が楽になる.
  2. 水分を多く補給すると,脳脊髄液が生成され楽になる.
  3. 気圧が低くなると症状が現れやすい.
脳神経外科において,漏出部分を特定し自らの血液を注入する,ブラッド・パッチという方法により改善がみられる.

(4)治療法
[頚椎モビライゼーション]
頚椎のアライメント評価:頚部の外側、背面からゆっくりと圧を加え、両側の横突起を触診し左右の横突起の高さを確認する。さらに横突起に圧を加えて、その抵抗かや疼痛の有無を確認する。
頚椎モビライゼーション:一方の手で頚椎を回旋させながら、他方の手を頚椎横突起に押し当て、アライメントを性状にする方向に回旋させていく。
[後頭骨モビライゼーション]
左右の手指の先端で後頭骨下部に引っ掛ける。この状態で左右交互に後頭骨を頭方へ牽引する。頭板状筋、頭半棘筋、僧帽筋上部線維などに緊張亢進や短縮が認められる場合、抵抗感が増大し、可動範囲に左右差が生じる。また、強い疼痛を訴えることもある。
[頚椎の牽引]
頚椎の牽引は、頚椎可動域訓練と併用することで、グレードU・Vの患者に効果が期待できるとされる。
一方の手掌の小指側で後頭骨を覆いながら引っ掛け、他方の手で顎を手掌で包み込む。両方の手と術者の体を一体化させ、術者の体重を後方に移動させることで、頚椎を長軸方向にゆっくりと数十秒間持続牽引する。
[頚部周囲筋のマッサージ]
頭板状筋:乳様突起から少し後方に指をずらし、頭板状筋に圧をかけながら筋の緊張を確認する。硬結部または圧痛点を確認したら押圧を繰り返す。
後頚部筋:後頭骨下項線と頚椎棘突起の間の筋肉を押し上げるように圧をくわえていく。硬結部または圧痛点を確認したら押圧を繰り返す。
僧帽筋上部線維:僧帽筋上部線維を一方の手で覆い、他方の手で軽く添える。ゆっくりと指を立てずに僧帽筋上部線維に圧を加えていく。数回押圧を繰り返し側方に移動させていく。

対象筋起 止停 止
頭板状筋C3-T2 棘突起乳様突起と後頭骨の外側部
頭半棘筋T1-T6 横突起後頭骨底部
大後頭直筋C2 棘突起後頭骨下項線外側部
小後頭直筋C1 後結部後頭骨下項線
僧帽筋上部線維上項線,外後頭隆起,項靭帯鎖骨の概則1/3
[体幹の立ち直り反応]
体幹の立ち直り反応は、頚部への負担を軽減させるために有効的である。以下に、座位における正常な体幹の立ち直り反応について述べる。
(図1) (図2) (図3)
(1)正常な立ち直り反応
 重心を側方へ移動させたときに骨盤が傾斜するが、それに伴い体幹も傾斜することになる。しかし、非移動側の内外腹斜筋重層部位の筋活動を増大させることで、体幹の傾斜を制御しバランスを保つことができる。さらに非移動側の僧帽筋中部線維、後部線維の働きにより肩甲骨を内転。後方回旋させることで、両側の肩のラインを平行に保つことが可能になる(図1)。
このように体幹の立ち直り反応が正常であれば、日常生活においてバランスが求められる場合においても頚部への負担が軽減されることになる。体幹の立ち直り反応を評価、治療するときの注意点を以下に挙げる。
(2)胸郭が傾斜している場合
 非移動側の内外腹斜筋重層部は機能しているが、僧帽筋中部線維、後部線維に機能低下がある場合に認められる(図2)。胸郭が傾斜することで頚部に対する側屈モーメントが増大するため、頸椎への勢断力の増大ならびに頚部周囲筋の過剰な筋緊張亢進をきたすことになる。
そこで立ち直り反応を促通する際の注意点として、非移動側の肩甲骨を後方回旋するよう誘導し、僧帽筋中部線維、後部線維の収縮を促していくことが必要である。これらの筋が筋緊張亢進し、十分な収縮力を得られないときは肩甲骨のモビライゼーションを準備として実施することも有効的である。
(3)移動側肩甲骨が挙上する場合
 両側の肩のラインを平行にすべく移動側の肩甲骨を挙上させて代償させるケースがある(図3)。この場合、肩のラインが平行になることで頸椎への労断力はいくらか軽減されるが、僧帽筋上部線維の筋緊張は常時亢進することになる。そのため頚椎の可動性が低下するなどの二次的な機能低下が予想される。このような場合、体幹の立ち直り反応を促通する際の注意点として、僧帽筋上部線維を触診しながら過剰な収縮が生じないようゆっくりと行うことが必要になる。僧帽筋上部線維に過緊張を認める場合、僧帽筋上部線維のマッサージを準備として実施することが望ましい。
(5)考 察

ムチ打ち損傷はその臨床分類により軽度の症状から骨折、脱臼に至るまで幅広い臨床像がある。理学療法が対象となるGradeU・Vは、器質的病変がなく、頚部痛、圧痛、頚部周囲筋の筋緊張亢進、関節可動域制限などが問題となっている。それ以外にも難聴、めまい、頭痛などの症状があり、これら多彩な症状に対し、どのように関連性を見出し、優先的に治療を進めていくべきか難渋することが多い。そこで事故によって生ずる関節の機能異常(一次的要因)、疼痛に対する筋の適応や異常動作のパターン化(二次的要因)、そして職場復帰、家庭復帰した際の問題(三次的要因)に分けて評価、治療することが重要であると考えている。臨床上、頚部周囲筋の筋緊張亢進を認める場合、事故の衝突により筋が伸張または短縮し、頚部周囲筋の筋緊張亢進を呈しているか、または関節障害があり二次的に頚部周囲筋の筋緊張亢進を呈したのかを知っておいたほうがよい。そのため評価の段階からそれぞれの要因間での関連性を見出しながら評価、治療を進めていくことが重要である。
 また、ムチ打ち損傷の約40%に外傷性胸郭出口症候群があり、本症候群を伴う場合は慢性化しやすいといわれている。そこで肩甲帯・上肢にしびれがあり、上肢挙上負荷テストか上肢下方負荷テストで陽性の場合は早期から斜角筋の筋緊張評価、肩甲骨周囲筋の機能評価などを実施し、問題があれば対応していくことが望ましい。
 神経生理学的に頚部周囲筋の筋緊張亢進が前底神経核、脳幹などに異常なインパルスを発射することで、めまい、自律神経症状、平衡機能障害などの症状に関連性があると考えられている。このことから頭板状筋・頭半棘筋・大後頭直筋・小後頭直筋などの頸椎固有受容器を多数有する筋においては、単なる頸椎の関節可動域を制限させる原因だけでなくその他の症状を改善させる可能性がある。現在、これらの頚部周囲筋とめまいなどの症状との関連性における研究成果は報告されていないが、臨床的にはその関連性が実感されることがある。

<参考文献>マニピュレーション Vol.20 No.3

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