変形性股関節症
部位股関節 症状変形
原因加齢変性 対処専門医の診断

変形性股関節症の多くは、股関節の先天的異常や、発育が不十分で起こります。股関節の関節軟骨がすり減り、骨同士がこすれ合って関節が変形し、変形が進むと両脚の長さに差が出て、足を引きずったり、歩くときに体が 揺れたりするようになります。
 成人の股関節疾患として最も高頻度。先天股脱,臼蓋形成不全, Perthes病,大腿骨頭すべり症などによる二次性が多い。一次性のものや急激破壊型もあり,高齢化とともに増加傾向にある。 治療は、患者さんの年齢や進行の度合い、症状により異なります。

変形性股関節症の病理

股関節の構造 骨盤と脚の骨をつなぐ関節を、股関節といいます。股関節は、脚の付け根である大腿骨の球形の先端部分(骨頭)を、骨盤にあるくぼみ(臼蓋)が屋根のように包み込む構造になっています。
 関節を構成する骨の表面は、弾力性のある関節軟骨で覆われています。この関節軟骨があるために、硬い骨同士が直接触れ合わず、関節がスムーズに動きます。
「変形性股関節症」は、この関節軟骨がすり減り、骨同士がお互いにこすれ合うために、関節が変形する病気です。
原因
 変形性股関節症は、原因が明らかな場合と、はっきりした原因がない場合とがあります。日本では前者が多く、具体的な原因として次のようなものがあげられます。

先天性股関節脱臼
生まれつき、あるいは生後に、股関節が外れてしまうことがあります(脱臼)。脱臼の程度が重いと、骨頭がお尻の筋肉のほうまで上がって、下肢が短くなります(殿筋内脱臼)。脱臼の程度が軽いと、寛骨臼などにひっかかり骨頭の変形が起きやすくなります。変形があると、関節での軟骨の摩擦が多くなり、すり減りやすくなります。
 生後に脱臼する原因の多くは、おむつのあて方や抱き方です。しかし育児指導の成果により、現在では非常に少なくなっています。
臼蓋形成不全
臼蓋の発育が悪いために、臼蓋が浅かったり、いびつだったりして、骨頭を十分に包み込めない状態です。関節が動くとき、臼蓋の縁に集中的に負担がかかり、関節軟骨がすり減りやすくなります。  これらの股関節の異常は女性に多く、したがって変形性股関節症も、女性によく見られます。ただし、最近は、老化によって関節軟骨がすり減るケースも増えています。

変形性股関節症の症状

股関節に先天的な異常があったり、幼少期から骨格に変形があっても、すぐに発症するというわけではありません。たいていは、30〜40歳代になってから、症状が現れてきます。
 初期には、運動後や長く歩いた後などに、だるさや体が重い感じがします。後から考えてみると思い出す程度の、軽いものです。
 進行すると、痛みが出てきます。特に、歩き始めの数歩に痛みを感じます。その後は痛みなく歩けますが、やがてまた痛み始めるということを繰り返します。また、長く歩いた日には、夕方になって痛むこともあります。
 変形性股関節症の痛みは、必ずしも病気の進行度と一致するわけではありません。股関節の変形自体は進んでいるのに、痛みがないこともあります。反対に、痛みがあっても、変形は軽いこともあります。
 進行度と一致するのは、むしろ股関節の動きです。変形が進むと、股関節の動かせる範囲がだんだん狭くなり、「あぐらをかく、靴下を履く、足の爪を切る」などの日常生活上の動作が、しにくくなります。
 また、脚を引きずったり(跛行)、歩くときに体が揺れるなど、脚や体の動きに変化が出てきます。これは痛みのためだけでなく、股関節の変形によって両脚の長さに差が出ることや、お尻の筋力低下で、歩行時の骨盤の位置が不安定になることが原因となっています。

医療機関での診断

まず問診で、症状や病歴が開かれます。赤ちゃんのころ、脱臼があったと母親から聞いたことなども、重要なデータになります。
 次に、股関節を曲げたり、内側や外側にひねるなどで、股関節が動かせる範囲を確認したり、歩き方の異常のチェックなども行われます。股関節を押すと痛みがあるかどうか、お尻や太ももの筋肉が落ちていないかも検査されます。
 骨や関節軟骨の状態を知るためには、エックス線撮影が欠かせません。関節の変形の有無や変形の仕方が、画像で確認されます。
 股関節が痛む病気は、ほかにもあるので、これらの検査結果を総合して診断されます。
関節唇損傷
 変形性腺関節症と症状が似た病気に、「関節唇損傷」があります。
 関節唇とは、臼蓋の縁にある組織です。何らかの原因でこの組織が損傷すると、その部分に大腿骨頭が当たり、強く痛むことが近年わかってきました。これまで原因不明の股関節の痛みとされてきたものが、現在では関節唇損傷と診断される例が増えています。
 変形性股関節症の痛みも、関節唇損傷と関係しているのではないかといわれています。
 ただ、関節唇損傷だけで変形性股関節症がない場合は、特定の動作をしたときだけ、瞬間的に痛みます。そのため、基本的には、痛む動作を避けるという保存療法を行います。通常は、それにより徐徐に治っていきます。

医療機関での保存的治療法

変形性股関節症の治療法には、手術療法と、手術以外の保存療法があります。
 手術をしたくない人、時間的な都合などの事情で手術できない人、最適な手術法が見つからない人などには、保存療法が行われます。

消炎鎮痛薬の内服
患者さんが最も悩まされる痛みについては、消炎鎮痛薬を用いることで対応します。
温熱療法
患部を温め、血行をよくすることで、痛みを和らげます。医療機関では、電気療法を行ったり、ホットパック(ジェル状の保温剤の入ったパック)などを使って患部を温めますが、自宅でも、ぬるめの湯にゆっくり入るなどしてもよいでしょう。
体重のコントロール
歩いているときを例にとると、股関節には体重の約3倍も負担がかかるといわれています。太っていると、それだけ股関節に大きな負担がかかることになります。股関節の負担を軽くするため、食習慣を見直し、適正体重を目標に減量します。
筋力訓練
太ももやお尻など、股関節を支える筋肉を鍛えることで、跛行の改善、痛みの軽減、進行の予防などが期待できます。特に、30歳以降に急激に悪化した場合、筋力低下が関係している可能性があります。このようなとき、筋力訓練が高い効果を示すことがあります。
 訓練の方法としては、股関節に負担をかけずに筋肉を鍛えられる、水泳や水中ウオーキング、自転車こぎが適しています。横になって体側を床につけて空中に脚を上げるような筋力訓練は、適していません。  股関節の可動域を広げるためにも、運動は欠かせません。ただし、関節に炎症が起きていたり、水がたまっているときは、無理に行わないようにしてください。

医療機関での手術療法

変形が進んでいる場合や、保存療法だけでは進行することが予想される場合は、手術が勧められます。
 手術には多くの手法があります。それぞれの手法は、主に「進行の予防」と「症状の改善」の2つの目的に分かれているので、患者さんの目的と病状に合った方法を選び、適切な時期に行うことが大切です。

主に進行を予防する手術
骨盤側の骨を一部切り取ったり、骨を移植するなどで、変形した臼蓋の形を整えます。それにより、股関節をできるだけ長持ちさせます(寛骨臼回転骨切り術、臼蓋形成術、キアリ法)。
主に症状を改善する手術
大腿骨側の骨を切り取り、白蓋と大腿骨頭の接触する角度を変えることによって、痛みを和らげることができます(内反骨切り術、外反骨切り術)。症状改善のための手術は、末期の病状だが、人工股関節を入れるには若すぎるようなケースで選択されることが多くなっています。
 これらの手術法は、組み合わせて行われることもあります。 一方、関節の傷みがひどく、ほかに治療法がない場合は、人工股関節に置き換える手術が必要になります。

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