姿勢の異常/脊柱の弯曲異常(脊柱の変形と運動制限)

背骨が曲がって姿勢が異常になる病気としては、脊柱の弯曲異常が代表的です。背骨が左右に弯曲している「脊柱側弯」、極端な猫背になる「脊柱後弯」があります。いわゆる「姿勢が悪い」のとは違って、姿勢を正しても異常な弯曲が治りません。

高齢者の弯曲異常では、骨粗鬆症による脊椎骨折、変形性脊椎症脊椎変性すべり症、腰椎変性側弯症などが考えられます。進行した強直性脊椎炎では、椎体同士がくっついて「竹様脊椎」を形成します。

成長期の子どもの背骨が左右に弯曲している(側弯)、あるいは背中が極端なねこ背になり(後弯)、姿勢を正しても治らないというときは、脊柱の弯曲異常が考えられます。

脊柱の弯曲異常

人問の背骨(脊柱)は、正面から見ればほぼまっすぐで、側面から見ればゆるやかなS字状の弯曲(生理的弯曲) があるのが正常な状態です。これが左右に弯曲しているのを「脊柱側弯」といい、生理的弯曲の範囲を超えて後方へ弯曲しているのを「脊柱後弯」といいます。側弯や後弯が複合している場合もあります。これらはみな「脊柱の弯曲異常」ということになります。生理的な弯曲が失われているものも、弯曲異常の一種です。

脊柱の弯曲異常は、「機能性の弯曲異常」と「構築性の弯曲異常」2つのタイプに分類することができます。

「機能性の弯曲異常」は、姿勢の悪さなどによって起こります。姿勢の悪さ以外に、腰痛や坐骨神経痛などの痛みがある場合にも、痛みから逃れようとして背骨に弯曲が生じることがあります。
 これはあくまで一時的に起きている現象で、1つ1つの脊椎そのものが変形しているわけではありません。そのため、自分で背骨をまっすぐにしようとしたり、弯曲と反対方向に体を曲げたりすると、弯曲を消失させることができます。また、姿勢を正したり、原因となる痛みを解消したりすれば、弯曲異常は改善されます。

もう1つは、脊柱を構成している椎骨や椎間板に変形があって起こるもので、このようなタイプを「構築性の弯曲異常」といいます。背骨が変形した状態で固まってしまうため、体を逆の方向に曲げても弯曲を消失させることはできません。成長期に起きた場合には、成長が止まるまで症状が進行します。

「脊柱側弯」:脊柱が左右方向に弯曲し、脊椎のねじれを伴うのが「脊柱側弯」です。機能性の側弯は一時的に起きている現象なので病気とはされません。問題となるのは構築性の側弯で、弯曲の程度が一定以上になった場合には 「側弯症」と診断されます。椎骨が発育障害によってくさび形に変形してしまうため、極端な弯曲が起こりやすく、その状態で固まってしまいます。それによって、呼吸などの内臓機能に障害が及ぶこともあります。

側弯症の中には原因となる病気がわかっているものもありますが、これは10〜20%程度です。残りは原因がはっきりしておらず、「特発性側弯症」と呼ばれています。

「脊柱後弯」:背骨は胸椎部分でやや後弯していますが、正常範囲を超えて弯曲している場合には「脊柱後弯」とされます。側弯と同様に「機能性後弯」と「構築性後弯」がありますが、特発性側弯症に相当するものはなく、原因不明の「ショイエルマン病」による後弯があります。ショイエルマン病は思春期に現れ、数個の椎骨がくさび状に変化する病気です。
   昔は結核性脊椎炎(脊椎カリエス)による背骨の変形が、脊柱後弯を起こす代表的な原因でしたが、今はほとんどなくなっています。また、畑仕事を続ける女性などに多く見られた、高齢者のいわゆる「腰まがり」も減ってきています。
 現在、脊柱後弯を起こす代表的な病気といえば、骨粗鬆症です。椎間板や椎骨の加齢変化による「変性後弯症」が重なっていることもあります。骨粗鬆症による後弯は、椎体の圧迫骨折により起こります。

特発性側弯症

特発性側弯症は、側弯が始まる年齢によって異なる特徴があり、乳児期(3歳まで)、学童期(4〜9歳)、思春期(10歳以上)の3タイプに分類されています。最も多いのは思春期に始まるもので、特発性側弯症の約80%を占めています。このタイプは圧倒的に女子に多く、男子の7倍以上にもなります。弯曲が始まると自然に治ることはなく、骨の成長が.止まるまで進行し続けます。
 いずれの場合も、初期の段階では痛みなどの自覚症状がほとんどないため、発見が遅れることがしばしばあります。側弯が進行してしまうと手術しか治療方法がなくなるため、早期に発見して進行を食い止めるための治療を行うことが大切です。

特発性側弯症の診断

早期発見のためにまず大切なのは、子どもの周囲の人が側弯の疑いに気づくことです。
医師による検診も行われますが、次のようなポイントを注意深く観察すれば、医師でなくても異常を発見することができます。

脊柱側弯を見つける4つのポイント
@両手のひらを合わせ、力を抜いておじぎをさせ、左右の背面の高さの差を見る(前屈テスト)
Aまっすぐ立って脇の線のカーブに左右の差がないかを見る
Bまっすぐ立って肩の高さの左右の差がないかを見る
Cまっすぐ立って肩甲骨の高さや突き出し方に、左右の差がないかを見る

4つのチェックポイントの中で最も重要なのは「前屈テスト」です。側弯症は脊椎のねじれを伴うので、肋骨によって背中の片側が隆起することになります。この前屈テストで、左右の背中の高さの差が7〜8mm以上の場合、あるいは左右の背中の傾斜角が5度以上の場合には、側弯症の疑いが強くなります。

これらの検査で側弯症の疑いがあれば、立った姿勢でのエックス線検査が行われます。
側弯があれば、カーブの上端と下端の椎骨の成す角度(側弯度)を調べます。これが10度未満なら健常、10度以上20度未満なら側弯状態、20度以上なら側弯症と診断されます。

 
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