医療機関での腰痛治療の基本的対処法

腰の痛みなどの症状があって整形外科を受診した場合、自分にはどんな治療が必要なのかが患者さんにとってはいちばん気になるところでしょう。治療の基本方針は次のように考えていきます。

保存療法か手術か

一般に、整形外科医は表のように大きく4つの考え方に立って治療方針を検討していきます。そして、その際、最も大きな選択となるのが、保存療法か手術かという点です。

 
1.保存療法に徹する
腰痛はあるが、それを説明する画像所見を伴わない 筋・筋膜性腰痛、椎間関節性腰痛、姿勢性腰痛症
画像所見はあるが、神経症状を伴わない腰痛 腰椎椎間板ヘルニア、腰部脊柱管狭窄症、変形性腰椎症
骨粗鬆症による脊椎骨折 骨が癒合しない不安定なところや麻痺のない場合
2.まず保存療法を行い、効果がない場合にはじめて手術を考える
腰椎椎間板ヘルニア、腰部脊柱管狭窄症、脊椎すべり症、変性側弯症などの腰椎変性疾患
椎体破壊や変形の見られない感染性脊椎炎(化膿性脊椎炎、結核性脊椎炎)
3.基本的には手術を考えて検討する
脊椎・脊髄腫瘍 麻痺がないか、あっても軽度な場合
感染性脊椎炎(化膿性脊椎炎、結核性脊椎炎) 椎体破壊がひどい、背骨の変形がある
腰椎椎間板ヘルニア、腰部脊柱管狭窄症、腰椎変性すべり症、脊椎分離症・すべり症、変性 側弯症。後弯症 下肢のしびれや痛みが強く、日常生活や仕事に支障がある
圧迫骨折後の椎体壊死または癒合不全(折れた骨がしっかりつかない) 強度の腰背部 痛および排尿・排便障害または下肢の筋力低下や痛みがある
4.早急に手術が必要
感覚障害や筋力低下、排尿・排便障害など麻痺が急速に進行している 脊椎の脱臼や骨折、脊椎腫瘍、脊髄腫瘍、脊椎炎、大きな椎間板ヘルニアなど

原則として重度の歩行障害や筋力の低下、排泄障害が現れている場合は、早期の手術が必要とされます。また、保存療法を選択した場合も、いつまで継続するのか、効果がない場合、どの時点で手術を考えるのか、その時機を見極める必要もあります。

腰椎の病気の手術は、神経への圧迫を取り除いたり、不安定性や変形を解消するために固定術や矯正術を行うことが基本ですが、手術によってどの程度まで症状を改善できるのかは、患者さんのさまざまな条件によって違ってきます。また、どんな手術法を選択できるのかといったことも検討する必要があります。

自分に合う治療のために

このように治療方針に一般的な目安はありますが、最終的には個々の患者さんの生活状況や希望と照らし合わせて、決定されていきます。また、症状や病状の変化に応じて、段階的に変わることもあります。

痛みという症状には敏感で、すぐに受診する人が多いのですが、一方で、「歩けない」「足の力が抜ける」「排尿や排便の際に違和感」など、こうした神経症状は痛みよりも軽視できないサインです。治療が遅れると回復が難しくなる場合もあります。一見、整形外科の症状と思えないものもありますが、気がついたらなるべく早く受診するようにしてください。

最も重要なのは、現れている症状によって患者さんがどの程度生活に支障をきたし、それをどこまで改善したいのかということです。まずこの点を踏まえて治療法を選ぶことが、患者さんにとって最善の選択となるはずです。

整形外科では症状名や、検査の所見による病態名、原因からの病名などが混用されているため、同じ病気でもいろいろな名称が出てくることがよくあります。

自分のどこがどう悪いのか良くわかりません。「どうも腰の骨が悪いらしい」ぐらいしか、伝わっていないことも多いようです。

しかし、自分の病気を理解するためには、やはり正式な診断名を覚えておくことは大切です。

そのうえで、骨に異常があるのか、椎間板なのか、あるいは神経に異常があるのかなど、どの部分がどうなっている病気なのかを説明してもらいましょう。

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